羽田空港を深夜1時に出発し、シンガポールに着いたのは朝7時過ぎだった。
深夜便なので、機内では寝るつもりでいた。
ただ、やっぱり思ったようには眠れない。
若い頃にも深夜便は何度か使ったことがあるが、年齢を重ねてからの深夜便は想像以上に体にくる。
子供たちは海外旅行ということでテンションが高かったが、大人は完全に寝不足である。
それでも飛行機は無事に、シンガポール・チャンギ空港へ到着した。
思ったより簡素だったチャンギ空港
チャンギ空港といえば、世界的にも有名な空港である。
巨大な屋内滝があって、空港そのものが観光地のような場所。
そんなイメージを持っていた。
ところが、実際に到着してみると、思ったより普通だった。
入国審査を抜け、荷物を受け取り、そのまま外へ出る流れはかなりスムーズだった。
ただ、正直なところ、
「あれ、チャンギ空港ってこんな感じなのか」
と少し拍子抜けした。
あとで分かったのだが、これは自分たちが到着したのがターミナル2だったためらしい。
よく写真で見る巨大な屋内滝のあるエリアは、Jewel Changi Airportで、ターミナル1に直結した複合施設である。
つまり、ターミナル2に着いて、そのまま市内へ向かうと、チャンギ空港の派手な部分をほとんど見ないまま出ることになる。
実際、屋内の滝はこの時ではなく、後日シンガポールへ再入国した時にようやく見ることができた。
到着ロビーでは、まず服装をシンガポール仕様に変えた。
日本を出た時はまだ春の気温だったが、シンガポールは完全に夏だった。
長袖のままでは到底歩けない。
空港で上着をしまい、半袖中心の服装に変更する。
ここでようやく、
「ああ、本当に南国に来たんだな」
という実感が出てきた。
eSIMとGrabは、準備しておいて正解だった
服装を変えたあとは、eSIMのアクティベートを行った。
自分の分は、事前準備編で書いたとおり、日本で購入済みだった。
海外でeSIMを使うのは初めてだったので、設定画面を見ながら少し手間取ったが、無事に開通した。
空港を出る前に通信できる状態になったので、これはかなり安心感があった。
実際に使ってみると便利だったため、その場で妻と長男の分も追加で購入し、同じようにアクティベートした。
SIMカードを差し替えずに使えるeSIMは、家族旅行ではかなり便利だと思う。
これは本当に、事前に調べておいてよかった。
通信環境が整ったところで、次はホテルへ移動する。
ここで使ったのが、事前準備編でも触れていたGrabである。
今回が初めてのGrabだったので、少し不安もあった。
ただ、実際に使ってみると拍子抜けするほど簡単だった。
アプリで目的地を指定すると、5分ほどで運転手がターミナルまで来てくれた。
まずは、カトンにあるISA Hotel & Apartment Hotelへ向かう。
場所は40 Amber Road。カトン地区にあるホテルである。
チャンギ空港からホテルまでは、車で10分ちょっとだった。
思っていたよりかなり近い。
到着してすぐに、
「シンガポール、移動しやすいな」
と感じた。
ホテルに着いたが、まだ早すぎた
ホテルに着いたのは、現地時間でまだ9時前だった。
すぐにチェックインできないのは想定していた。
ただ、そもそもレセプションがまだ開いていなかった。
あとで確認すると、ISA Hotel & Apartment Hotelのレセプションは朝9時半ごろからのようだった。
これなら、もう少し空港に残って、朝食でも食べてから移動してもよかったかもしれない。
チャンギ空港をあっさり出てしまったこともあり、少しもったいなかった気もする。
しばらく待ってレセプションが開いたあと、荷物を整理した。
まだ部屋には入れないので、ホテルに預ける荷物と、これから観光に持っていく荷物を分ける。
深夜便明けで頭があまり回っていない中だったが、ここで荷物を軽くしておけたのは大きかった。
スーツケースを預け、必要なものだけを持って、まずはホテル周辺を歩いてみることにした。
カトンでカヤトースト
荷物を預けて少し身軽になったので、ホテル周辺を散策することにした。
ISA Hotelから少し歩くと、Parkway Paradeというショッピングセンターがあった。
ホテルから徒歩で数分程度なので、朝の散歩としてもちょうどよい距離だった。
深夜便明けでかなり疲れていたこともあり、まずはここで朝食を取ることにした。
兄から、
「シンガポールではカヤトーストを食べるといい」
と勧められていたので、最初の朝食はカヤトーストにした。
カリッと焼いたパンに、甘いカヤジャムとバター。
重すぎず、深夜便明けの体にはちょうどよかった。
シンガポールに到着して、最初に食べた現地らしい食事がカヤトーストだったことで、ようやく旅行が始まった感じがした。
改装中でも、シンガポールの歴史を知るにはよかった
Parkway Paradeでカヤトーストを食べ、ようやく一息ついた。
このままホテル周辺だけで過ごすのももったいない。
「これからどこへ行こうか」となり、まずはシンガポールの歴史を知るために、博物館へ行くのがよいのではないかと思った。
そこで、その場でシンガポール国立博物館のチケットを予約した。
チケットを取ったあとは、Grabで博物館へ移動する。
シンガポール国立博物館では、過去から現在までのシンガポールの成り立ちを知ることができた。
港町としての始まり、植民地時代、戦争、独立、そして現在の都市国家としての発展。
到着初日にこの国の歴史をざっくり知る場所としては、かなりよかった。
ここで思った以上に役に立ったのが、Googleレンズだった。
展示の説明文は基本的に英語である。
子供たちには少し難しいかなと思ったが、スマホを向けると、その場で日本語に翻訳してくれる。
子供たちも、展示パネルにスマホを向けながら、レンズ越しに解説を読んでいた。
英語だけなら流し見して終わっていたかもしれないが、内容を理解しながら見られたのはよかったと思う。
海外の博物館でGoogleレンズはかなり強い。
これは今回、実際に使ってみてよく分かった。
ただ、正直に言うと、展示のボリュームは少し物足りなく感じた。
あとで調べて分かったのだが、この時期は博物館の一部が改装中で、中心的な常設展示であるSingapore History Galleryも再整備中だったらしい。
なるほど、それなら展示が少し控えめに感じたのも納得である。
それでも、最初に博物館へ行ったことで、その後に見るシンガポールの街並みが、ただの近代的な都市ではなく、歴史の上にある街として見えるようになった。
初めてのMRTで少し戸惑う
博物館を出たあとは、シンガポールに住む兄に会うため、市内へ向かった。
距離だけ見ると歩けそうだったので、そのまま徒歩で向かうことにした。
しかし、実際に歩き出してみると、車通りがかなり多い。
横断歩道も、思ったほど簡単には見つからない。
日本の感覚で「このあたりで渡れるだろう」と思って進むと、意外と遠回りになる。
さらに、シンガポールの横断歩道は、歩行者信号の時間がかなり短く感じた。
青になったと思って渡り始めても、すぐに点滅が始まる。
普通に歩いていると、渡り切る前に急かされているような感じになるので、自然と早足になる。
そこに暑さも加わる。
深夜便明けの体には、なかなかきつい。
途中で地下鉄の駅が見つかったので、そこからMRTに乗ることにした。
ただ、ここでも少し戸惑った。
日本の地下鉄の感覚で券売機を探したのだが、それらしいものがなかなか見つからない。
駅には案内の人がいて、窓口もあったので、そこで聞いてみることにした。
英語の細かいやり取りはよく分からなかったが、どうやら地下鉄に乗るにはカードを買う必要があるらしい。
一人10シンガポールドルということだったので、5人分で50ドルを用意した。
日本だと小学生は子供料金の感覚だが、シンガポールでは少し違うようだった。
うちの子供は一番小さくても小学4年生だったので、全員が大人料金扱いになったようで、家族5人分のカードを購入することになった。
最初は少し手間取ったが、一度カードを手に入れてしまえば、あとは改札でタッチするだけで乗れる。
券売機で切符を買う感覚とは違うが、慣れてしまえばMRTはかなり便利だった。
このEZ-Linkカードは、翌日以降のバス移動でも威力を発揮することになる。
さらに、後日シンガポールへ再入国した時にも、思わぬ形で役に立つことになる。
結果的には、ここで家族全員分を買っておいて正解だった。
マリーナスクエアで遅めの昼食
MRTに乗ったあとは、シティホール駅で下りた。
そこから兄と会うため、マリーナスクエア方面へ向かう。
シティホール駅周辺は地下通路やショッピングモールがつながっていて、外を長く歩かずに移動できるのがありがたかった。
この時点で、かなりお腹も空いていた。
マリーナスクエアでは、少し遅めの昼食を取ることにした。
入ったのはバーガーキングである。
せっかく海外に来たのだから現地らしいものを食べたい気持ちもあった。
ただ、子供たちは現地の料理よりもファーストフードがよいと言う。
深夜便明けで疲れていたこともあり、ここは無理せず、全員が食べやすいバーガーキングにした。
同じバーガーキングでも、日本とは少し違う感じがした。
海外に来ているのに知っている店。でも、完全に同じではない。
こういう微妙な違いも、海外旅行らしくて面白い。
いい意味で期待を裏切られたマーライオン
兄と会うまで少し時間があったので、マリーナスクエアからマーライオンを見に行くことにした。
マリーナスクエアからマーライオン公園までは、思ったより近い。
到着初日で少し疲れてはいたが、せっかく近くまで来ているなら見ておきたい。
正直、マーライオンには「がっかりスポット」のようなイメージがあった。
しかし、実際に見てみると、思った以上に大きい。
近くで見ると、かなり存在感がある。
しかも、対岸にはマリーナベイサンズがきれいに見える。
マーライオン単体というより、マリーナ湾の景色とセットで見ることで、かなり映える場所だった。
あとで調べると、像そのものは1972年に公開されたマーライオンで、現在の場所へは2002年に移設されたものらしい。
昔のマーライオンのままではあるが、今はマリーナ湾を背景に見える場所へ移されている。
なるほど、昔のイメージより印象が良かったのは、場所が変わったことも大きいのかもしれない。
少なくとも自分には、がっかりスポットとは思えなかった。
いい意味で期待を裏切られた。
兄と3年ぶりに再会
その後、シンガポールに住む兄と再会した。
兄がシンガポールに移住してから、もう3年近くになる。
そのため、子供たちにとっては約3年ぶりの再会だった。
久しぶりに会ったこともあり、子供たちはかなり嬉しそうだった。
シンガポールでの暮らしぶりや、学校、生活環境、日本との違いなどを聞き、子供たちは興味津々である。
実際に海外で暮らしている人の話を聞くと、単なる観光とはまた違った刺激がある。
子供たちもかなり触発されたようで、
「留学してみたい」
というようなことまで言い出していた。
海外旅行は、観光地を見るだけでも十分楽しい。
ただ、現地で暮らす人の話を直接聞くと、その国がぐっと現実味を持って見えてくる。
これは、普通の観光だけではなかなか得られない時間だったと思う。
夜は一緒に食事をすることにして、いったんホテルへ戻ることにした。
朝に荷物だけ預けていたので、チェックインも済ませる必要がある。
Grabでホテルへ戻る。シンガポールの移動は速い
ホテルまでは、またGrabを使った。
マリーナスクエア周辺からカトン地区までは、おそらく6〜8kmほどはある。
距離だけ見るとそれなりに離れているはずなのだが、車に乗ると10分ほどで着いてしまった。
どうやら高速道路のような道を使ったらしく、信号で何度も止まる感じがほとんどない。
日本の市街地を同じ距離だけ移動する感覚とはかなり違い、思った以上に早かった。
本当にシンガポールは移動が楽だ。
ホテルに戻ったあとは、ようやくチェックインを済ませた。
朝に荷物だけ預けてから、カトン、国立博物館、マリーナスクエア、マーライオンと動き回っていたので、ここでようやく部屋に入ることができた。
深夜に日本を出て以来、まともに休む時間もなかったので、まずはシャワーを浴びる。
飛行機、空港、街歩き、シンガポールの暑さ。
体にはかなり疲れが溜まっていた。
シャワーを浴びると、一気にさっぱりした。
日本を出てからずっと移動続きだったので、ここで初めて少し落ち着いた気がした。
夜はMellben Signatureでチリクラブ
ホテルでチェックインを済ませ、シャワーを浴びたあと、1時間ほど休憩した。
短い休憩ではあったが、体をリセットできたことで、だいぶ動ける状態に戻った。
その後、再びGrabでマリーナスクエアへ向かった。
兄とは、またマリーナスクエアで合流することにしていた。
それにしても、シンガポールは移動が本当に早い。
カトンからマリーナスクエアまでは、距離だけ見るとそこそこあるはずなのに、車に乗るとあまり時間がかかる感じがしない。
マリーナスクエアで兄と合流したあとは、夕食へ向かった。
行き先は、タンジョンパガーにあるMellben Signature。
チリクラブが有名な店ということで、シンガポールに住む兄が前もって予約してくれていた。
到着した時はまだ少し早い時間だったため、店内のお客さんは少なめだった。
しかし、しばらくすると次々に席が埋まっていき、気づけば店内はかなりにぎやかになっていた。
人気店なのだろう。
この日のお目当ては、やはりチリクラブである。
シンガポールに来たからには、一度はチリクラブを食べておきたかった。
テーブルに運ばれてきたチリクラブは、見た目からしてかなり迫力があった。
大きな蟹に、濃厚な赤いソースがたっぷり絡んでいる。
実際に食べてみると、味は最高だった。
蟹の身はしっかりしていて、ソースも濃厚。
甘辛い味付けで、辛すぎるというより、旨みのあるソースという感じだった。
チリクラブ以外にも、炒飯、麺料理、揚げ物、濃いめのソースがかかった料理など、テーブルには次々と料理が並んだ。
どれも味がしっかりしていて、ビールにもよく合う。
シンガポールといえばTiger Beer。
濃いめの海鮮料理と冷えたビールの組み合わせは、到着初日の疲れを一気に吹き飛ばしてくれた。
チリクラブは、食べるのに少し手間がかかる。
手はかなり汚れるし、ソースもたっぷりつく。
しかし、それも含めて楽しい料理だった。
深夜便で到着し、朝からかなり動き続けていたので、体は疲れていた。
それでも、兄と再会し、みんなでチリクラブを囲んで食事をする時間はとても楽しかった。
観光地を巡るだけではなく、現地に住む兄に案内してもらいながら食事ができたことで、初日からかなり濃いシンガポール体験になった。
便利なGrabも、時間帯によってはすぐ来ない
食事を終えたあとは、Grabでホテルまで戻ることにした。
昼間はアプリで呼ぶとすぐに車が決まり、移動もかなりスムーズだった。
しかし、この時間帯は少し様子が違った。
なかなか配車が決まらない。
何度かアプリを見ながら待つことになり、昼間のようにすぐ車が来る感じではなかった。
Grabは本当に便利だ。
ただ、時間帯や場所によっては、いつでも同じように使えるわけではない。
昼間の感覚で「呼べばすぐ来る」と思っていると、少し焦ることになる。
便利なサービスでも、状況によって使い勝手は変わる。これは今回、実際に使ってみて分かったことだった。
それでも、最終的には無事に車が決まり、ホテルのあるカトン方面へ戻ることができた。
朝にシンガポールへ到着してから、空港、カトン、国立博物館、マリーナスクエア、マーライオン、タンジョンパガーと、かなり動き回った一日だった。
深夜便明けとしては、少し詰め込みすぎた気もする。
それでも、カヤトーストを食べ、シンガポールの歴史を知り、マーライオンを見て、兄と再会し、最後においしいチリクラブを食べることができた。
到着初日から、かなり充実した一日になった。


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